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イルカをやめた理由 2

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イルカをやめた理由 その2





疑問とは、野生のイルカに依存している自分の生活スタイルでした。

基本的に、自然は「放っておく」のが一番です。

でも、ボク一人が自然を放っておいても何も変わらないのだから、

逆に積極的に交流プログラムを通して情報を発信していきたい。

そう、それは分かるんです。

しかし、事実として、年間100人以上の人をイルカに連れて行っていました。

1日に10人として、年間のべ1000人ほどになります。

それだけの人数を野生のイルカの生活環境に連れていっていれば、

自然保護の観点でマイナスは発生しています。

でも、それによって人々の心に生まれている自然との調和を考えて、

天秤にかければ、

プラスはマイナスを大きく凌ぐことは実感していました。

でも、なんか、もっと工夫できるんじゃないか...?

自分が目指すものは、違う形でもできるんじゃないか...?

ボクの中のモヤモヤはなかなか消えないでいました。



kids24s



あるとき、脳性マヒの男のコの家族が参加されました。

重度障害児のご家族にかかる日々のストレスは尋常ではありません。

たった一週間のプログラム。

子供たちはボクたちスタッフに任せて、家族の方々もイルカと一緒に泳いで、楽しんでほしい。

いつもそう思います。

でも当然ながら、ご家族は「このコをイルカと泳がせるために来た」という思いが強く、

なかなか自分自身がリラックスできることがありません。

でも心配することもなく、ご家族が一度水中でイルカと出会ってくれれば、すべてが変ります。

脳性マヒのコは、自分がイルカと出会ったことさえ認識できているか分かりません。

でも、家族は間違いなく変わります。

宿舎の雰囲気がどんどん明るくなっていきました。

ある日、脳性マヒのコのお兄ちゃん(小5)が家族に言ったそうです。



「結局さア、イルカじゃなくて、トトなんだね!」



「トト」は現地でのボクのニックネームです。

ご家族にそれを伝えられたとき、ボクはものすごい衝撃を受けました。

「いやいやボクじゃないですよ。イルカですよ」とゴニョゴニョ言いながら、

正直、ものすごく嬉しかった。

このお兄ちゃんもきっと苦労しているはずです。

小さい時から、この家族は脳性マヒの弟を中心に回ってるんです。

でも、彼には一切ひがみっぽいところもなく、周囲のいろんなコトに気づける

明るく優しい男のコでした。

そんな彼に認められたのが、ボクは涙が出るほど嬉しかったんです。



kids22s



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